福田総理大臣が安倍前総理に続き、わずか一年で辞任した。
「あなたとは違うんです」という迷言を残して簡単に政権を投げ出した格好だ。
大相撲協会では、北の湖理事長が一連の不祥事の責任をとって辞任した。
どうもご本人は理事長の座に固執していたようだが、
辞任しなければ事態の収拾がつかない状況になってから、ようやくという感じだ。
そして今度は小泉元総理が次回の総選挙には出馬せず、
政界からの引退を表明した。
これには「潔い」という意見もある反面、今の格差社会の原因をつくり、
小泉チルドレンを置き去りにして「勝手すぎる」という声もある。
二男を後継者にしたことも小泉さんらしくない。
一方、北京オリンピック陸上400mリレーで
銅メダルを取る立役者となった朝原選手。
「最後にメダルというプレゼントをいただいて、
みんなにお祝いしてもらいながら引退できることは最高に幸せ」
とすがすがしく引退。
そして、オリックス・バファローズの
清原選手も満員の京セラドームで打順4番、
イチロー選手もかけつけるというこれ以上ない舞台での引退試合。
セレモニーではまだシーズンを戦っている阪神タイガースの
金本選手がスーツ姿で花束を渡し、
長淵剛さんが「とんぼ」を生で熱唱するという内容は、
三冠のどのタイトルも取ったことのない選手の引退とは思えない。
このようにわずかの期間で多くの人の退任・引退を見ていると、
「引き際」というのは本当に難しいと思う。
いつまでも現役にこだわっていると後進が育たないし、全体が停滞してしまう。
しかし、現役としてやり残したことがあると思う以上は
それをやり遂げるまでは続けたいものだろう。
その見極めは難しいが、
常に「引き際」を意識することが大事であると思う一連の出来事だった。
【yomiっこ 2008年11月号より抜粋】