知人の紹介で、オープン2日前の新病院を見学した。
八尾徳洲会総合病院。
大阪中河内地域の救急医療の受け皿として昭和53年に開設以来、
20年以上地域医療に貢献する総合病院が、新たに建て直され、移転したのだ。
驚いたのは、医師、看護士、技術士ほか現場医療スタッフが図面を書き、
配置や動線を決めたということだ。
最も重視されているのは動線。
救急関係は2階に集中、救急車到着の扉を開ければすぐ広い救命救急室、
たった3mで手術室に。周りに心臓や動脈検査処置室も配置。
心臓や脳血管関係などの数秒を争う患者にも即座に対応出来る。
上下導線も考えられ、すぐ上は医局。
医師が即座に降りられる体制づくりも出来ている。
病棟も工夫されており、病棟へ入る受付を一か所にまとめて管理しながら、
ナースステーションからすべての病室に最短で駆けつけられる構造になっている。
機能重視だけではない。
患者がいかに快適に過ごせるかという工夫が多々見られる。
たとえば複数人の病室も、ベッドを少しずつずらした独自の配置で、
個室の雰囲気と大部屋のよさを取り入れた明るい病室を可能にした。
ほか、ちょっとした棚の工夫など、
患者にとって居心地のいい空間が作られている。
なんと新病院への取り掛かりは10年前。
数人が交替で全国の有名病院を視察して回り、5年前から本格的に図面作成へ。
各部署ごとに議論がなされ、具体的にしていったようだ。
今回案内いただいたのも、呼吸器外科の先生。
病院運営というと事務方の仕事ととられがちだが、
どの部署を拝見してもそれぞれの先生が自信を持って
「うちはここが工夫されているところ」と
説明しておられたのが非常に印象的だった。
すばらしい病院を自ら作ったスタッフの皆さんの熱意を目の当たりにし、
地域で高い評価を受けていることに納得した一日だった。
【yomiっこ 2009年09月号より抜粋】